定期借家契約とは?メリット・デメリットも解説
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1.定期借家契約とは
定期借家契約とは、契約時に定めた期間が満了すると、更新されることなく賃貸借契約が終了する制度のことです。契約期間が明確であることから、大規模修繕や建て替えを計画している物件を貸すことができます。注意点として契約期間が終了する6カ月~1年前には貸主から借主へ契約期間満了の通知をすることが必要になります。通知されない場合は、契約期間が満了していても貸主側から契約の終了を主張することはできないとされています。
定期借家契約と従来からの借家契約(普通借家契約)との比較
※国土交通省HP参照
2.大家さん向け 定期借家契約のメリット
2-1.立ち退き料が不要となる
建替えなどを検討している物件を普通借家で契約をすると、建て替えのために解体する際に、立ち退きを行わなければいけません。そうすると高額な費用が掛かる場合もあります。定期借家契約は、正当事由の有無に関係なく、期間が満了すれば借主に明け渡しを求めることができる制度ですので、借主に立ち退き料を支払う必要がありません。また、分譲マンションを賃貸にしていて数年後にご自身で住む方などにも非常に有効な手段になります。
2-2.家賃減額請求を排除できる
土地や建物の賃貸借契約は長期間にわたるケースが多く、年月が経過することにより資産価値が減少することが考えられます。普通借家契約の場合、契約書で「賃料を減額しない」といった特約を記載しても、借地借家法32条1項の反対解釈により無効となり、借主が建物の劣化を理由に賃料の減額を求めることは有効となっておりますが、定期借家契約の場合は家賃減額請求の特約を排除できるので賃料の減額を求めることができません。
3.大家向け 定期借家契約のデメリット
3-1.賃料が安くなる
定期借家の場合は賃借人は不利になるので、通常の相場賃料で募集をしてもなかなか賃借人が決まりません。
貸主が定期借家契約にして賃料を下げる理由としては、入居者を誘致しやすくなることと、契約更新時における増減額交渉のトラブルを回避するため。条件が合意しなければ再契約が無いだけなので、この点は普通契約との大きな違いと言えるでしょう。また、取り壊し予定がある場合の定期借家契約では、貸室を空けておくよりは安い賃料でも入居してもらったほうが貸主もメリットにはなります。
3-2.大家さん側から中途解約できない
定期借家契約は、借主との合意解約の場合を除き、貸主からの中途解約はできません。契約期間は大家さん側が設定したものであり、もしも大家さんからの解約が認められれば入居者は次に住むところを見つけて引っ越さなければならず、不安定な立場に置かれるからです。貸主からの中途解約はできないため、借主と合意解約できない場合には、貸主は契約期間が満了するまで待つことになります。
4.まとめ
以上、大家さん向け定期借家のメリットとデメリットについて解説してきました。定期借家契約とは、更新ができない賃貸借契約のことです。定期借家のメリットには、「立ち退き料が不要となる」、「家賃減額請求を排除できる」といった点があります。デメリットは、「住居系は賃料が安くなる」、「大家側から中途解約できない」です。定期借家の特徴をよく踏まえ、利点を生かしてうまく活用しましょう。