旧法賃借権とは?借地権を解説
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1.はじめに
売買や相続をする際に「旧法賃借権」という言葉を聞いたり目にしたことがある方もいるでしょう。
旧法賃借権は借地権の一種であり、所有権のある土地や新法借地権によって借りた土地とは異なった 特徴を持っています。
2.借地権とは?
そこでまず借地権について解説します。
借地権とは、建物を建てるために地代を払って他人から土地を借りる
≪権利≫のことです。
そのため、建物がない駐車場や資材置き場などは含まれません。
借地権の特徴は以下の通りです。
- 土地を所有する権利は地主にある。
- 地主に対して地代を賃借人が払う。
- 賃借人は、借地に建てた建物を無断で売却することができない。
- 建て替えは事前に地主へ許可をとる必要がある。
- 土地賃借の契約期間が満了したら更地にして賃借人が地主に土地を返還する。
次に旧法借地権について解説します。
3.旧法借地権とは?
不動産の貸借によっては昔、賃借人側が不利な状況に置かれることが
多かったため、賃借人を保護するため、1921年に旧法借地権が制定されました。
特徴は以下の通りです。
- 当事者間の同意があっても、法定存続期間より短い期間の契約はできない。
- 正当な理由があると認められない限り、地主は賃借人に明け渡しを要求できない。
- 新法借地権に則った契約を結び直さない限り、旧法借地権が適用され続ける。
つまり、明け渡しを要求できる正当事由がなければ、旧法借地権で契約された全ての土地は半永久的に更新し続けられます。
しかし、賃借人側が保護されすぎてしまったため、貸した土地を返してもらえないなど、地主側が不利な状況となってしまいました。
そこで、地主と賃借人が平等な権利を主張できるよう、1992年8月1日に新借地法(借地借家法)が制定されました。
4.旧法借地権と新借地権(借地借家法)の違いとは?
旧法において借地権というのは、一つのくくりでしかありませんでした。
新借地権は借地権を細かく、普通借地権や定期借地権などに分けて、よりそれぞれの事情に合った権利の定義をすることにしました。
そして、①借地権(普通借地権)、②3種類の定期借地権の(建物譲渡特約付き借地権、事業用定期借地権、一般定期借地権)、③一時使用目的の借地権に分類されました。
- 借地権(普通借地権)・・・
普通借地権は、1992年に制定された借地借家法で定められている権利です。借地借家法に定めのある 借地権の中で、定期借地権でないものはすべて普通借地権とされています。
借地権の存続期間は30年以上と定められており、契約満了時には更新が可能です。1回目の更新では 期間を20年以上、2回目以降の更新では期間を10年以上とする必要があります。
借地契約は、居住用建物を建てるために締結されることが多いです。地主側から簡単に契約解除ができると、借地権者は住む場所を失うことになります。そのため、借地権によって土地を貸した地主は、 正当事由がない限り一方的な契約解除はできません。
「正当事由」の内容は条文にも明記されており、火災による建物滅失などが当てはまります。
- 定期借地権・・・
定期借地権とは期間が定められている借地権であり、契約更新がないのが特徴です。借地人にとっては、更新がないという点で普通借地権より権利が弱くなるため、普通借地権よりも賃料が安く設定されることが一般的です。
簡単に3種類を解説します。
●一般定期借地権
存続期間を50年以上とすることで設定できます。一般定期借地権を設定するときは必ず契約書を書面で残しておく必要があります。
●建物譲渡特約付き借地権
存続期間を30年以上で定めます。契約期間満了時に借地権を消滅させるために借地上の建物を地主が 買い取ることを約束した借地権です。
一般定期借地権と異なるのは、書面での契約が義務付けられていない点です。
●事業用定期借地権
事業用の建物を所有することを目的として存続期間を10年以上50年未満の期間に設定された定期借地権です。この借地権はコンビニやファミレス、ガソリンスタンドで活用されることが多い借地権です。
- 一時使用目的の借地権
土地の利用実態などから、一時使用目的の借地権であると認められる場合には、借地権者(賃借人)の保護規定を適用されないこととされています。
5.まとめ
重複しますが、新借地権(借地借家法)は旧法借地権を改めたものです。新法の施行により土地の 有効活用も盛んになりました。
私たちは、これまでの経験と知識を活かして、よりお客様の資産活用のお手伝いをさせて 頂いております。
売買に限らず不動産全般のことは弊社にぜひお任せください。