不動産用語解説

短期賃貸借保護制度の廃止

改正前の民法395条に定められていた短期賃貸借保護制度が法改正により廃止されたこと。その代わりとして、建物明渡猶予制度が創設されている。

1.短期賃貸借保護制度とは
抵当権が設定された不動産において、抵当権が登記された後に賃借権が設定された場合であっても、その賃借権が短期賃借権であるならば、その賃借権は抵当権に対抗できるという制度である(詳しくは短期賃貸借保護制度参照)。

2.短期賃貸借保護制度の廃止の背景・経緯
短期賃貸借保護制度は、抵当権設定後の抵当不動産の賃借利用を一定限度で保障する制度であったが、依然として占有屋等による競売執行妨害にこの制度が濫用されるという弊害があった。
また、賃貸借契約の更新時期と競売のための差押え登記の期日とが近接しているかどうかという偶然の事情により、賃借人が賃借を継続できる期間に著しい格差が生じるという問題点もあった。
そこで、2003(平成15)年8月1日に公布された「担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律」により、2004(平成16)年3月31日以降、短期賃貸借保護制度は廃止され、その代わりに建物明渡猶予制度が創設されている。

3.短期賃貸借保護制度の廃止に伴う経過措置
「担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律」の施行日(2004(平成16)年4月1日)より以前に抵当不動産に設定された賃貸借については、依然として短期賃貸借保護制度が適用される(同法附則第5条)。

4.建物明渡猶予制度の創設
建物明渡猶予制度とは、抵当権に対抗することができない賃借権について、抵当権の実行による競売がなされた場合に、賃借人は競落人の買受の日から6ヵ月間に限り、当該不動産を明け渡さなくてよいという制度のことである(改正後の民法395条による)(詳しくは建物明渡猶予制度へ)。

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